「体力をつけるにはどうしたらいいですか?」と聞かれることがあります。
先日は「体力ってやっぱり筋肉ですか?」という質問がありました。
そもそも「体力」ってなんでしょう?
以前の私は3分続けて走ることができなかったり、車の助手席に乗っているだけで疲れて姿勢がズルズルと崩れてしまったりなど、とにかくものすごく疲れやすかったんです。
体力とは?と専門的なことを書くとそれだけでとてつもなく長くなってしまうので、「体力がある」「体力がない」の違いと、体力をつける方法を個人的な経験を交えて紹介します。
体力が「ある」と「ない」の違い
私の個人的な経験から、体力がないときのカラダとメンタルの状態を挙げると、
- 疲れやすい
- 行動的じゃない
- メンドクサイが多い
- そんな自分にイラつく
やりたいことや、やらなきゃいけないことをメンドくさくて後回しにするって、けっこうなストレスになるんですよね。
体力がついた後のカラダとメンタルの状態
- 動くのが楽(すぐ動く)
- 疲れにくい
- 「メンドクサイ」がなくなる
- 「後でやろう」が減る
- 自分へのイラつきが減る
- ストレスが減る
実は体力があるほうだと思っていたんです。でも運動をする機会がなくなり、どんどん体が衰えて体力も減退していっていたんですね。20代でしたけど、どんどん疲れやすくなっていきました。
体力のあるカラダにあるもの
一般的に「体力」といえば「スタミナ」とか「持久力」を指すと思います。
そんな体力に必要なものは主に4つあります。
筋肉
「体力の正体は筋肉」という専門家もいるくらい、筋肉は体力に大きく影響します。
わたしは運動をしていなくても筋肉が落ちにくく、柔軟性がある方でしたが、筋肉は動かさないとダメだったんですね。体力がなかった頃はまったく運動をしていませんでした。
筋肉は質も大切です。
健康・美容器具にパットを貼って筋肉を鍛える機械がありますけど、そういった機械でつけた筋肉は「見せる筋肉」がついても「使える筋肉」は鍛えられず、体力アップにつながらないんです。体力アップのための筋肉は運動しないと鍛えられません。
柔軟性がある筋肉(や血管)は、酸素や栄養をスムーズに巡らせることができたり、老廃物を排出しやすくしたり、ムダな動きが減ることで体力の消耗を減らしたりすることができます。
体力がある体には、質のいい使える筋肉がついています。
血液
以前、大量出血してしまって血が足りなくなった(貧血状態だった)ときがありまして。
血液が足りないと、ちょっと動くだけで
- 息切れする
- バクバク動悸がする
- 眩暈がして立っていられないなど、
体力があるとかないとかの問題じゃありませんでした。
でもそんなことはめったにないと思いますので、
- 含まれる成分のバランスが良い血液
- スムーズな血流
- 詰まりのない弾力のある血管
が体力のある体にはあります。
骨
家の中のそこかしこに煮干しが置かれていた時期があります。子どもの頃ですけれど、右腕だけで6ヶ所骨折しているんです。
「この子は生まれつき骨が細くてもろいから気をつけて」と病院で言われた母が、わたしにカルシウムを摂らせようとしたんですね。カルシウムだけ摂っても骨は強くならないんですけど。
そんなわけで骨密度はずっと平均値ギリギリをキープしている状態です。
骨は適度な負荷をかけることで強くなりますが、ヨガはその適度な負荷をかけることで骨を強くするための効果があります。ヨガを始めていなかったら今頃スカスカになっていたかもしれません。
骨がしっかりしている人は、体力がある人や丈夫な人が多いですが、その反面ムリができちゃう人でもあるので、大病をしないように体を酷使することがないよう気をつけてください。
呼吸(酸素量)
以前は呼吸をしていれば「呼吸ができている」と思っていました。でも浅かったかもしれません。
呼吸が浅い自覚があるという人や、クラスに参加してみて自分の呼吸が浅かったことに気づいて驚く人が多いのですが、
- 胸式呼吸をしてる
- 腹式呼吸ができない
- 鼻が詰まっているわけでもないのに口で呼吸している
- 口呼吸をしていることに気づいていない
といった人の呼吸は浅くなります。
肺持久力が低かったり、十分な酸素が体に供給できる呼吸ができていなければ疲れやすくなります。
呼吸は体力はもちろん、心身の健康、美容、口臭など口内環境にも大きく影響しますので、自分の呼吸はどうかな?とちょっと見直してみてください。
体力をつけるには
骨折してギプスをつけていた約1か月の間に筋肉がやせ衰え、ギプスを外したときの腕の細さは自分の腕ながら動かすのが怖かったのを覚えています。
使っていない筋肉は衰えていきます。
だからといって血管が切れそうになる筋トレや無理やりなストレッチをしたり、肺持久力をあげるために心臓がバクバクしたり息がハアハア上がるような激しい運動は必要ありません。
私の場合、ゆるゆる続けていたヨガで「あれ?疲れない」「え?私10分も走り続けてる?!」と気がつけば体力がついていました。
筋肉をつける
筋肉をつけるには、筋トレなど筋肉に負荷をかける運動と食事です。
ヨガは柔軟性がアップするイメージがあると思いますが、全身の筋肉を鍛える筋トレにもできます。
私はヨガで筋肉をつけましたが、道具を使ったり、何かを習ったりしないで今すぐできるものはスクワットです。筋肉の約7割は下半身にありますから、効率的に筋肉を増やすことができます。
スクワットをしたら、
- 太ももの前と後(ハムストリングス)、ふくらはぎ、お尻
- 両脇を伸ばす
- ウエストをひねる
といったストレッチを無理なく行いましょう。
私もヨガをする時間がないときは、スクワットとストレッチをします。
食事は筋肉の材料となるたんぱく質を摂ることが大切ですが、一度に体に吸収される量、使われる量(代謝)は限度があるので、1日3~4回に分けて補給します。
脂肪の多い肉や魚、乳製品は摂取できるたんぱく質の量が減りますし、たくさん食べると太ってしまうので注意です。
筋肉をつくるためにたんぱく質を摂ろうと思ったら、(アミノ酸スコア100になるように)バランスよい食事をすることが重要です。
肉や魚の種類や部位によってアミノ酸スコアが100のものもありますし、そうでないものもあります。
大豆、卵、玄米、牛乳などアミノ酸スコア100ですが、そうではない肉や魚の部位などは穀物や野菜に含まれるアミノ酸(たんぱく質)と一緒に摂ることで筋肉をつくるたんぱく質になります。
そんな事を考えて食べるのは大変だという場合は、アミノ酸スコア100を簡単に摂取できるプロテインがオススメです。
わたしは自然なもの、植物性のものが好きなので、大豆、ヘンプ、インカナッツなどある中から今はインカナッツを飲んでいます。
血液の質と血流をよくする
血液の改善には食事・運動・生活習慣など様々な方法がありますが、
- 糖質の過剰摂取をしない
- 肉食を減らす
- 緑黄色野菜、青魚、海藻類などを積極的にとってバランスのいい食事を心がける
といった食事に、全身の巡りをよくする有酸素運動、こまめな水分補給、冷え性の改善、禁煙などが血液の質を良くします。
血流を良くするにもやっぱり運動ですが、柔軟性のある筋肉は血流をよくします。
ちょっとしたストレッチは隙間時間でもできます。運動する時間がなかったり、運動が苦手な人はストレッチから始めてみるのもいいと思います。
骨を強くする
適度な運動、良質なたんぱく質、カルシウム、ビタミンDなどの栄養、日光を浴びることが骨を強くします。
前述したように、骨は適度な負荷がかかると骨をつくる細胞が活発になり、強くなる性質があります。
ヨガは適度な負荷で骨を強くすることが実証されていますが、ヨガ以外にもスクワットや、膝をついた腕立て、プランクなど体重で負荷をかけるエクササイズも骨を強くします。
呼吸を深める
肺持久力は、全身持久力とも呼ばれています。
肺持久力を高めるには、ジョギングや早足、サイクリングなどの有酸素運動が適しています。
呼吸を筋肉で行っていることを意識したことがある人は少ないと思いますが、肺は自分で動けないため筋肉によって動かされています。
筋肉をつけるのと同じで、呼吸は急には深くならないですが、意識すればどこでもエクササイズでるのがヨガの呼吸法です。
自分の呼吸がどれだけ浅かったか、クラスに参加して初めて気づいて驚かれる人は少なくありませんし、呼吸が浅い自覚がある人も機会やキッカケがなかったり、緊急性を感じないので改善するまでに至らないことが多いようです。
運動が苦手な人は、まずは呼吸を観察して、自分がどんな呼吸をしているのか知ることから始めてみるのはいかがでしょう。
まとめ
家事や仕事で体を動かしている、立ちっぱなしの仕事をしているなど、体を動かしている人は動かない人に比べると体力があると思いますが、「疲れやすい」「体力がない(落ちた)」と感じるのであれば、筋肉と柔軟性をつける、呼吸を深くすることで体力をつけていけます。
最近スタジオに通い始めた人で、今まで運動をしてこなかったという人が「筋肉がすべてを解決すると思ってるんで」って言ったんです。
彼女は柔軟性があって、筋肉がつきやすく、骨がしっかりしている恵まれた体質なので、そもそもの体力があるタイプ。
反面、20代でも体がメチャクチャ硬い、筋肉がない、そのせいで動くのがメンドクサイ、すぐ疲れてあまり歩けないといった症状のある人がいます。
ふだんの生活や、スポーツなどでは使わない筋肉があります。
動かさない体の部位はどんどん衰えて固くなります。ストレッチだけでも習慣にすると、体の老化を予防したり、ムダな体力使わずに疲れにくくなるなどの効果があります。体を動かすことに慣れてくると、もっと動かそうと思えるようになります。
ヨガを始める前の私は、歩くのすら「メンドクサイ」人間でした。すぐ動かないで「明日やろう」「今後でいいか」などと後回しにしたりやらなかったりしがちで、「なにをやってるんだ」と自分に対してイラついたり、情けなく思うことがよくありました。
体力があると、カラダだけじゃなくメンタルのストレスが減ります。疲れにくい、集中力が持続する、怠惰な自分へのイラつきが減る、自信がつく、元気に働ける、若返る、自分を好きになるなど、体力はQOL(生活の質)を高めます。
「体力がなくてやりたいことがままならない」とか、「やることがあるのについだらけてしまうのは体力がないせいかも」と思ったら、体力をつけることから始めてみてはいかがでしょう。